「そこはかとなく」という言葉は、日頃あまりなじみがないですが、
きれいな日本語ですね。
日本語と言っても、外来語からの日本語もありますが、
そこはかとなくは、もともとあった日本語(大和言葉)です。
その意味と使い方をまとめました。
そこはかとなくの意味
「そこはかとなく」は、「そこはかと」+「ない」(否定)に分解できて、
そこはかはと、漢字で書くと、「其処は彼と」
意味は、<どこがどうであるとさして言えるほどに明瞭であるさま>
ですが、
現代では、「そこはかと」では使われることがなくて、
「そこはかとなく」、と否定形で使われます。
つまり「そこはかとなく」の意味は、
<どこがどうであるとさして言えるほどに明瞭ではない>
→・原因や理由がはっきりしない、特定できない
・曖昧な
・何となく
・とりとめがない
というようなニュアンスになります。
そこはかとなくの使い方
そこはかとなくの使い方ですが、
古文ですと、
徒然草の冒頭の一文を覚えている方は、
徒然(つれづれ)なるままに、日ぐらし、<なんとなく一日中>
硯(すずり)に向かいて、<硯に向かって>、
心にうつりゆくよしなし事(ごと)を <心に浮かんだいろいろな事を>
そこはかとなく書きつくれば、 <とりとめもなく書き始めたら>
怪しうこそ物狂(ものぐる)おしけれ<まるで何かに憑かれたように筆が止まらない。>
という使い方をしていますが、現代では使わないですね。
現代で「そこはかとなく」を使った例文は、
まず、漂うと合わせて使うことが多いです
・彼女には、そこはかとなく気品が漂う
・そこはかとなく漂う芳醇なワインの香り
・彼には、そこはかとなく知性が漂う
他には
・そこはかとない気味の悪さを感じる
・そこはかとなく春の気配を感じる
・そこはかとないファッショナブルな雰囲気
のように使います。
あとがき
「そこはかとなく」は意味もそうですが、
ことばの響きも
なんとなく煙のようにぼや~っとした雰囲気で、
いい感じです。
「そこはかとなく」と、カタカナ語の組み合わせも、
ハイブリッドな漢字で素敵です。
これから、「そこはかとなく」を
そこはかとなく多用していきたいと思います。
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