宮崎力教授(ノーベル賞候補)のペロブスカイト太陽電池とは

アメリカの「クラリベイト・アナリティクス」という学術情報サービス会社は、6300万本もの研究論文の引用回数をもとに22人の候補者を予測し、その中に日本からはノーベル化学賞で桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授の名前が上がっていました。

残念ながら、今年は宮坂教授のノーベル賞受賞はなりませんでしたが・・

 

宮坂教授の業績はというと、次世代の太陽電池の発見です。

この次世代太陽電池は「ペロブスカイト」って言われていますが、初めて聞きますよね。

 

この「ペロブスカイト」って、チタン酸カルシウム(灰チタン石, CaTiO3)という物質のの結晶構造の名前です。この名前の由来は、この結晶構造を発見した
ロシアの研究者、Lev. Perovski(ペロブスキー)にちなんで命名されたようです。

 

それで、宮坂教授はこのペロブスカイト構造をもつ物質を金属板に塗るだけで、
太陽電池を作ることがきることを発見
したんです。

 

まず、

宮坂教授の経歴ですが、
1976年 早稲田大学理工学部応用化学科卒業
1978年 東京大学大学院工学系研究科工業化学修士課程修了
1980年~1981年 カナダ・ケベック大学大学院生物物理学科客員研究員
1981年 東京大学大学院工学系研究科合成化学博士課程修了
1981年 富士写真フイルム(株)入社,足柄研究所主任研究員を経て
2001年より現在桐蔭横浜大学・大学院工学研究科教授

 

宮坂教授は本来化学を希望ではなくて、建築希望で、大学院で建築に推薦されたのですが、建築でも希望する分野ではなかったために、方向転換をしたようです。

 

また、光のエネルギーに興味をもったのが、早稲田大学時代の先輩の話だったということで、その先輩の話というのが、

「エネルギーは熱とか電気,光,力エネルギーといろいろ形を変えていくけれど
特に日常生活で大切なエネルギー源は熱と電気と光。
熱エネルギーというのを例えば鉄砲の弾だと仮定すると,電気エネルギーというのは小さな爆弾。ところが光エネルギーというのは,その爆弾よりさらに大きい,ナパーム弾のようなものだ。」

つまり、熱エネルギーや電気エネルギーは結構な威力があるけれども,光エネルギーはまたそれとは比較にならない大きな力があるということです。

 

宮坂教授は、この話に感銘を受けて、光エネルギーを研究するようになったわけです。

 

この次世代太陽電池、ペレブスカイト太陽電池、とても魅力的です。

ペレブスカイトを1μm(百万分の1メートル)という超薄い厚さで金属板などの
電極に塗るだけで太陽電池ができてしまうんです。

軽くて折り曲げることもできる。

 

たとえば、バッテリーカーのボディーに塗り太陽光で充電し走行することが可能。
また、パソコンなどに塗って室内光で充電して使うことができます。

 

また、太陽電池というと、太陽光に限定してしまいますが、次世代は室内照明程度の明るさでも発電できるようになりそうです。

 

これは、想像してみたら画期的なことです。

 

電池の概念が変わります。従来の電池の形がなくなります。

オフィスビルの壁やパーティションに塗れば、オフィス内の電力をまかなえます。
電車の窓、車などに塗布すれば、そこで発電して動かせるわけです。

現在の太陽電池のような大規模なパネルでなくても、身近なものが太陽電池になります。

従って、世界中どんな僻地でも、発電することができるようになります。

光から電力への変換効率はまだ20%くらいですが、変換効率ももっとあがれば、
なにより塗布するだけで発電できるようになるので、応用は無限です。

 

いずれは、水力・火力・原子力といった原始的な発電から、この夢のような次世代太陽電池に変わっていくんだと思います。

 

このエネルギー革命から、世界は大きく変わる可能性があります。

宮坂教授が残念がっていることは、「この技術は、日本で発見されたのに、欧米や韓国、中国の方が研究が盛んで、日本が追いかける状況になっているということ。若い研究者にもっとこの分野に参加してほしい。」ということでした。

 

宮坂教授がノーベル賞を受賞されなくても、この次世代太陽電池、どんどん実用化が進むことを切に願っています。

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