風邪の後に、風邪は治ったようなんだけど、咳だけが治らずに長引いている場合、
何か肺の悪い病気じゃないのと心配になっている人もいるかもしれません。
その場合、「咳喘息」と呼ばれる病気の場合があります。
咳喘息の場合、風邪の治療の方法では、全く良くならないので注意が必要です。
まずは、そのような症状の場合、病院で正しく診断を受けた方がいいですね。
今回は、咳喘息の症状や原因、治療法を説明しますね。
1.咳喘息とは
自分も、以前風邪のあとに咳だけが長引いて、ずいぶん治りの悪い風邪だと思っていました。風邪ぐらいで、病院へは行かないので、それがたぶん咳喘息だったとは、気づきませんでした。
最近、私たちの診療所を受診した患者さんが、風邪のあと、何ヶ月も咳が治らなくて 「咳喘息」と診断された。ということから、咳喘息をよく知るようになりました。
「咳喘息」は、喘息と名前がつきますが、普通の喘息(気管支喘息)とは、多少症状が違います。
どちらも、気道(呼吸のときの空気の通り道)に炎症を起こすのは、共通です。
しかし、「咳喘息」は気管支までは炎症が進んでないので、「気管支が細くなって呼吸が苦しくなることはないんです。」
「気管支が狭くなって、喘息特有の喘鳴(呼吸のときにヒューヒュー音がする)の症状もありません。
文字通り、咳だけの喘息です。
2.咳喘息の症状
咳喘息の咳は、一日中でているわけではなくて、何かの刺激で咳が何回かでたあとは、数分で治まり、しばらくは咳はでません。
じっとしていて、突然胸のあたりがむらむらして、咳き込んだりしますが、何回が
咳き込むとすぐおさまり、しばらくは止まります。
しゃべろうとすると、むせるような感じでしゃべれないことがあります。
咳喘息の咳で特徴的なのは、夜間から明け方にひどくなることが多いのが特徴で、安眠ができないくらいです。しかし、起床して体を起こすと咳はかなり治まります。
たばこの煙とか、ほこり、かび、空気の温度差などが刺激になって咳き込みます。
自分の経験だと、緊張しているときは咳はあまり出ず、リラックスした状態になると
咳が出やすい傾向がありました。
3.咳喘息の咳が夜間ひどくなる理由
咳喘息の咳が、夜間ひどくなる理由は、実は明らかにされていません。
たぶんですが、寝ていてずっと動かないでいると、肺や気管付近に血液が滞って
気道が腫れた状態で咳が出やすくなるのではと思われます。
また、寝ているときは副交感神経が優位になるので、副交感神経は気管支を収縮
させますので、その影響もあって咳が出やすくなるのではと思われます。
次の図は、ある咳喘息の男性の患者さんの夕方、咳の回数が増えているときの、
自律神経のバランスを分析した結果です。
予想どおり、
交感神経が低くて、副交感神経が高い、副交感神経優位型でした。
副交感神経が優位だと、咳がでやすく、アレルギー反応を起こしやすくなります。
4.咳喘息の原因
咳喘息は、気道の炎症ですが、ウィルスや細菌等の感染症による炎症ではないのです。
アレルギー反応による炎症なんです。
だから、風邪の治療してもダメなんですね。
咳喘息のアレルギーの原因は何かというと、「花粉症の花粉」と言うようにはっきりしたものではなく、もともとアレルギーを起こしやすい体質の人が、風邪の炎症をきっかけにアレルギー反応を起こしてしまったと考えるといいでしょう。
もちろん、ハウスダスト・カビ・たばこの煙・室内外の温度差等、アレルギーを引き起こしやすいものは、注意する必要があります。
5.咳喘息の治療
咳喘息は感染症ではなく、アレルギー反応なので、アレルギー反応が治まるまで、
少々時間はかかります。
アレルギーを起こしにくい生活環境に注意して、少なくても数週間から1カ月程度かかります。
しかし、早く症状を改善したい場合は、ステロイド治療を検討してください。
ステロイドというと、副作用を心配すると思いますが、吸入用のステロイドは、ほぼ副作用がないので心配はいりません。
呼吸器科の先生とよく相談してみてください。
◎まとめ
風邪の後の長引く咳は、「咳喘息」という病気の場合があります。
原因は、アレルギー反応なので、風邪の治療では治りません。
アレルギー反応が治まって治るまで、少々時間がかかります。
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