膝痛の時、「冷やす」か「温める」かで迷いますよね。整形外科や治療院にかかると、たいてい湿布等で冷やす治療が行われると思います。それで良くなる場合もありますが、良くならない場合も多いです。
私は、長年自然治療で膝痛・腰痛等の多くの患者さんを見ていますが、この膝痛を冷やす、温めるについては、よく理解していますので、説明しますね。
☆膝痛で冷やす理由は?
膝が痛くなる原因もいろいろあります。
昨日歩きすぎた・・
自転車に乗りすぎた・・
ころんでぶつけた・・
加齢現象で、軟骨が減っているといわれた・・
リウマチと言われた
原因が何であれ、腫れて熱をもっている状態だと「炎症」を起こしています。
で、素人考えでも炎症があれば、冷やした方がいいと思いますよね。
炎症→冷やす
これは正しいのでしょうか?
☆炎症がおこる理由
膝の炎症って、どういう状態かというと
まず、
膝を使いすぎた、ぶつけた、関節が減ったとかで、
膝の組織が壊れた状態が始まりです。
で、ヒトのからだは素晴らしいことに、
頼まないでも治してくれようとしてくれます。
壊れた所を治すために必要なのは、材料・・
家でも台風とかで壊れれば、治すための材料が必要ですよね。
からだでは、治すための材料は、壊れた細胞を治す栄養と酸素。
それは、血液で運ばれてきます。
膝の組織が壊されると、
からだはいろいろな物質を出します。
その物質によって、
血管が広がったり、
温度が上がったり、
血管からの血液内の成分の透過性が良くなったり、
それらのことで、膝の壊れた組織に血液が良く集まり、
血液中から栄養成分が滲出します。
膝の壊れた組織を治すために材料が集まって治そうとする力が働きます。
温度を上げて、快復力・免疫力を高めます。
痛みを起こす物質も放出されるので、痛みもでます。
症状的には、患部が腫れて熱をもって、痛い。
これが「炎症」を起こした状態です。
つまり「炎症」って、壊れた膝の組織を治そうとしている反応なんです。
炎症は良くないものと思っていたかもしれませんが、実は治そうとしているからだの反応なんです。
炎症を冷やすと、
熱感が押さえられ、
血行が悪くなるので腫れが抑えられ、
感覚神経が鈍くなるので痛みが抑えられます。
で、冷やした方が治している感覚になりますが、
実は、炎症を冷やすことは、からだの治そうとしている反応を抑え込んでいるわけです。
なので、炎症が治まらないからって、ずっと冷やしていると、
なかなか治らない訳です。
つまり、
炎症がひどいときは冷やしてもいいけれど、
それは治しているわけではないので、
ある程度炎症が治まったら、冷やすことをやめて、
温めることです。
私達の診療所には、膝痛でアシシングや湿布で、
ずっと冷やすことを続けてちっともよくならない患者さんがたくさんきます。
アイシングや湿布などの冷やすことを止めさせて、温める療法をしてあげると、
短期間で良くなっていきます。
炎症が軽ければ、最初から温めてもよいです。
温めて、腫れや痛みが増しても、治している反応なので、我慢できる程度であれば、そのまま温めることを続けてください。
☆慢性的な膝の痛みには
加齢によって膝の軟骨が減っておこる変形性膝関節症、
あるいは、関節リウマチで長年痛い、
などの慢性的な膝の痛みは、
よほど炎症がひどいということがなければ、徹底的に温めて血行を良くするに限ります。
☆まとめ
膝の炎症は壊れた組織を治そうとしているからだの反応。
炎症が強い場合は、一時的に「冷やす」ことはよいが、
壊れた組織を治すことにはならないです。
基本的には、膝の痛みは温めて血行を良くして、
栄養・酸素を十分に送ってあげることです。
炎症がある程度治まったら、「温める」
炎症が軽ければ最初から「温める」
慢性の膝痛は、ひどい炎症がないかぎり「温める」