乳がんの人多いですね。
うちの診療所にも、毎日のように来ます。
何か共通した原因がないのかなと、
生活環境や食事やら聞いてみるのですが、
よくわかりません。
でも、アメリカの研究でわかっていることがあるので紹介します。
1.乳ガンと日照量
アメリカのガーランド博士たちは、
「日光が乳ガンや結腸ガンの発生を抑制する」
という疫学的研究を長年、精力的に追求しています。
疫学的というのは、ある地域や集団を調査して、
病気の原因と考えられる要因と
病気発生の関連性について、
統計的に調査することです。
ガーランド博士たちは、乳がんの罹患率について、
世界107カ国の、国の位置する緯度と
乳がんの罹患率の関係を調べました。
(アメリカの研究:Breast j:255-260,2008)
図表の英字は、各国の頭文字です。
統計的に処理すると、
赤道から離れるほど、乳がんの罹患率が増えていることがわかります。
ガーランド博士たちは、この違いを、
日照量の違いが影響していて、
日照量の違いは、
血中のビタミンD濃度の差が影響していると考えました。
ヒトは、紫外線(UVB)を浴びると血中のビタミンD濃度が高くなります。
赤道に近い国では、日照量が多く、
当然紫外線(UVB)を浴びる量も増えますので、
血中のビタミンD濃度が高くなります。
血中のビタミンD濃度と
乳ガン罹患率を研究した結果でも、
血中のビタミンD濃度が高いと、
乳がんの罹患率が低下しています。
紫外線は、日焼けやシミ、皮膚の老化、皮膚ガン等の
原因になると思って、
特に女のひとは、
日光に当たることを避けていたり、
日焼け止めをばっちり使っていたり
していることが少なくないですよね。
もちろん過度に紫外線を浴びれば、
弊害はでることもあります。
しかし、
紫外線はヒトのからだには適度には必要なものです。
紫外線を浴びないと、
骨が弱くなります。
免疫機能も低下して、
乳がん等にも罹患しやすくなります。
皮膚に弊害が出ない程度に、
積極的に日光浴をして
血中のビタミンD濃度を高めましょう。
2.皮膚に弊害がでない日光浴の仕方
血中のビタミンDを高める日光浴は、
手や足だけでも日光にあたれば良いので、
夏であれば、最低30 分間程度
冬であれば、最低1時間程度
手足だけでも、日光浴をするとよいでしょう。
なお、
からだでビタミンDを作る紫外線は、
UVBで、これは窓ガラスを通りません。
直射日光を浴びるようにしてくださいね。
3.ビタミンDの多い食材
日光浴が十分に出来ないヒトは、
ビタミンDを多く含む食材を良く摂ることも
必要と思います。
魚類と天日干ししたキノコ類に多いですね。
◆ビタミンDを薬やサプリメントで摂る場合の注意
食事や日光浴で、ビタミンDが過剰になることはありませんが、
薬剤やサプリメントで摂取する場合は、過剰に摂取すると、
腎機能障害等の副作用が出る場合があるので注意が必要です。
規定量を摂取するようにしてくださいね。
◎まとめ
乳ガン予防のひとつには、日光浴を積極的に行ったり、
食事やサプリメントでビタミンDを摂取して、
血中のビタミンD濃度を高めておくことが有効です。