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映画「メッセージ」は、そのメッセージが素晴らしく、面白い

【少々ネタバレを含みます】
SF映画で異星人ものは、すぐ侵略と戦いの話になってしまい、
エンターテインメント的な面白さはあるでしょうが、
映画のあとに何も残りません。

 

ところが、「メッセージ」の映画は、異星人がでてきますが、戦いにはなりません。
宇宙船がお菓子の「ばかうけ」とうりふたつという話題で茶化されていますが、

 

「人類や自分の人生について」、色々と考えさせられ、
壮大で価値観の大転換をせまられるという意味で、
素晴らしく、面白い映画でした。

 

この映画を見てから、毎日考えさせられています。

 

映画のあらすじやスタッフなどは、多数のブログにありますので、
そちらをみてください。

私の感想をのせます。

 

私は、この映画を見る前に、
原作のテッドチャンの「あなたの人生の物語」を読みました。

 

テッドチャンは、中国系のアメリカ人で
コンピューターサイエンスを大学で学んだ、
SF作家、小説家です。

 

「あなたの人生の物語」には物理や数学がでてきて
論理的で緻密で、1回読んだだけでは、まったく理解できませんでした。
主人公ルイーズの娘とのエピソードと、異星人との遭遇の話が交互にでてきます。

 

何でこんな書き方なんだろうと・・

 

3回読んで、やっと何となくわかってきた感じです。
映画という映像を見て、もう少しわかってきました。
タイトルどおり、いくつかの「メッセージ」がありました。

 

1.今の世界情勢にぴったりのメッセージ

 

「メッセージ」では、世界12の場所に宇宙船が現れるのですが、

各国は異星人とうまく意志疎通ができないために、
侵略者とみなして攻撃を始めようとするのですが、

 

 

それを救ったのが、
ルイーズの武器

 

これはネタバレになりますが、

 

 

それは、「言語」「ことば」です。

 

 

ことばが、人の心を変え、攻撃命令が中止になり、
各国が異星人との情報を提供しあって、世界が1つになっていきました。

 

世界では、今年になって特にグローバリズムとナショナリズムが衝突していますね。
グローバリズムとは、国を超えて地球全体を一共同体としてとらえる考え方
ナショナリズムとは、国家の利益や発展を推し進める考え方です。

特にアメリカのトランプ大統領になってからナショナリズムがあちこちで盛んになっていますね。

 

自国さえ良ければと言う考え方では、世界はまとまりません。
ろくな対話もなく、武力で制圧しようと言う考えでも、
世界が平和になるわけはありません。
さらに、「メッセージ」では、

 

 

「ノンゼロサム」という言葉もでてきます。

 

「ゼロサム」っていうのは、ある人が勝つと他の誰かが必ず負ける
っていう理論ですが、
現代の自国さえよければ、自分さえ良ければ、っていう考えは、
このゼロサム理論です。

 

 

これでは、貧富の差が広がるばかりで、皆が幸せにはなれません。
「ノンゼロサム」は、これとは逆に

1人の利益が、他の人の損失にはならない、
皆が利益を得られる理論です。

 

個人個人や各国が持っている技術や情報を提供して分け合えば、
どれほど世界の国々や人々が幸せになれるかなと思ってしまいます。

 

残念ながら、今の地球の社会は、自国の利、個人の利ばかりを追いすぎています。

 

「ノンゼロサム」に皆気づいてほしいですね。

 

自分の利益が皆の利益にもなる。
素晴らしいではないですか。

 

残念ながら、今の地球の社会では、自分の利益を脅かすものは、つぶされる社会です。

 

このノンゼロサムは、原作にはなかったように思いますが、
監督の現代社会へのメッセージなんだと思います。

 

2.自分の人生へのメッセージ

 

「メッセージ」にでてくる異星人の音声言語と文字言語は一致していません。

 

地球上の言語は、たいてい話しことばと、書き言葉は一致していますよね。

 

この異星人は、文字言語は、図形で意味を表示しており、意味表示文字です。
しかも、過去も未来もない、時制がありません。

 

地球上では、過去から現在、未来と時間は、一方向に流れますが、
彼らには、過去も現在も未来も同じ時制に存在するんです。

 

ちょっと理解ができないですが、

 

人間って、過去にとらわれたり、未来に不安をいだいたりで、
そのために現在の生き方が、つまらないもの、つらいもの、不安定なものになったりします。

でも、

時の流れが一方向でなかったら、って考えたら
過去からのとらわれ、未来への不安から、少しは解放されるんではないでしょうか。

 

主人公のルイーズは、
最初は亡くなった娘との色々なとらわれがあったようでしたが、
異星人との遭遇でつらい未来が見えるようになっても、
過去や未来にとらわれず、

今を前向きに生きようとするようになりました。

 

一方向に流れる時間という固定観念も、崩してくれた映画でした。

 

これは、「インターステラー」という映画でも、考えさせられました。

 

過去、未来にとらわれず、
今と時間を、楽しく好きなように生きるのが素敵なのではないでしょうか。

◎まとめ

 

映画「メッセージ」は、娯楽性を求める人には合わないでしょうが、

現在の世界・人類・自分の人生などに対する価値観や考え方を
再考するきっかけには、たいへん素晴らしく面白い映画だと思います。

「メッセージ」を観ての感想は、人それぞれだと思いますが、
色々考えさせられる、考えることが大切なことではないでしょうか。

ranzanst: